姫路市立美術館は、姫路城のすぐ近くに位置し、赤レンガ造りの重厚な建物が特徴の美術館です。

姫路城観光とあわせて訪れるのに適した立地で、美術館の周囲を散策するだけでも趣のある雰囲気を楽しめます。今回は、館内で特に印象に残ったコレクションについてご紹介します。
國富奎三コレクション:少数精鋭の名品
姫路市立美術館には、姫路市在住の医師•國富奎三氏が収集した西洋美術のコレクションが所蔵されています。このコレクションは、点数こそ多くないものの、どれも厳選された名品ばかりで、作品一つひとつが持つ価値の高さに圧倒されます。特に、クロード・モネやアンリ・マティスといった印象派・ポスト印象派の巨匠による作品を鑑賞できるのは大きな魅力です。
展示室では、國富氏の確かな審美眼によって選ばれた作品が並び、それぞれの作品にじっくりと向き合うことができます。点数が限られているからこそ、一作ごとに時間をかけて鑑賞できるのが魅力です。作品の背景や美術史に思いを巡らせながら過ごす時間は、非常に濃密なものとなりました。

幻の松方コレクションとマティスの「ニース郊外の風景」
もう一つ特筆すべき点は、「松方コレクション」に関連する作品を鑑賞できることです。松方コレクションとは、20世紀初頭に松方幸次郎がフランスを中心に集めた西洋美術のコレクションであり、戦後、多くがフランス政府に接収されました。現在、その一部は日本に戻っていますが、未だに行方不明の作品も少なくありません。
姫路市立美術館には、アンリ・マティスの《ニース郊外の風景》が所蔵されています。この作品は、松方幸次郎が戦前に収集した「松方コレクション」の一部だった可能性が高いとされています。松方コレクションといえば、上野にある国立西洋美術館が有名ですが、姫路でもその一端を鑑賞できることに感慨を覚えました。マティス独特の色彩や構図を間近で楽しめる貴重な機会となり、彼の芸術の魅力を存分に味わうことができました。
まとめ
姫路市立美術館は、姫路城の近くという立地も魅力ですが、それ以上に、國富奎三コレクションや松方コレクションに関連するマティスの《ニース郊外の風景》など、質の高い美術作品をじっくりと鑑賞できる点が大きな魅力です。展示作品の点数が限られている分、一点一点と丁寧に向き合うことができ、美術に対する理解が深まる時間を過ごせます。
姫路城を訪れた際には、ぜひこの美術館にも立ち寄り、貴重なコレクションとともに、心豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
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