偶然がキャリアを左右する？「計画的偶発性理論」とは
キャリアの8割は偶然で決まるという「計画的偶発性理論（Planned Happenstance Theory）」があります。
これは、人生における重要な転機や意思決定の多くが、事前に計画されたものではなく、予期せぬ出来事や偶然の出会いによって形づくられるという考え方です。私自身の経験からも、この理論の正しさを実感しています。
「たまたま」の異動が人生を変えた話
私がかつて所属していた部署には、非常に酷い上司がいました。パワハラは日常茶飯事で、評価も理不尽なものが多く、1年のうちに職場の2割もの人が辞めていくような環境でした。私もその部署には1年しか在籍しませんでしたが、偶然にも異動の話が舞い込み、結果的に会社に残ることができました。もしその異動がなければ、間違いなく退職していたと思います。この経験から、キャリアの多くが「たまたま」で決まることを身をもって理解しました。
偶然を活かすために必要な「原因自分論」
しかし、「計画的偶発性」という言葉が示すように、単に偶然に身を任せるだけでは不十分です。その偶然をどう活かすかが、人生を切り開くうえで重要だと考えています。私は「原因自分論」という考え方を大切にしています。たとえ偶然の流れで今の場所にたどり着いたとしても、そこでとどまり続けるかどうかは自分の選択です。これからどう生きていくかも自分の意思次第だと思います。「なぜ自分がこんな目に遭うのか」と被害者意識にとらわれるのではなく、「では次にどう動くか」と建設的に考えるようにしています。
今の部署も偶然、でもどう活かすかは自分次第
現在、私は情報システム部門に所属していますが、そこに配属されたのも「たまたま」でした。ただし、この偶然を無駄にしないよう、意識的にスキルや経験を積むよう心がけています。プロジェクト管理やトラブル対応、セキュリティの知識など、どこに行っても役立つ力を身につけることを目指しています。
副業と自己投資で選択肢を広げる
また、不明確な会社からの評価や昇給を気にするよりも、副業や自己投資を通じて自分の選択肢を広げることに力を入れています。これも、計画的偶発性理論の実践だと言えるでしょう。偶然に左右される部分が大きいからこそ、その偶然に備えて自分を鍛えておくという「計画的」な姿勢が大切だと感じています。
「いつでも辞められる」状態を目指す
特に意識しているのは、「かつての上司のいる部署に再び異動を命じられたら、その瞬間に退職を決断できるよう、人生の選択肢を広げておくこと」です。「この会社で働くしかない」という状態と、「この会社で働くという選択を自分の意志でしている」状態とでは、心の安定感がまったく異なります。「いつ辞めても大丈夫」と思える状態を整えておくことで、偶然に振り回されず、自分の軸を持って働けると信じています。
偶然に備えて、自分らしいキャリアを築く
計画的偶発性理論が教えてくれるのは、キャリアは完全に自分の計画どおりに進むものではないということです。しかし、偶然の出来事にどう反応し、どう活かすかは自分次第です。私は「たまたま」今の会社に残り、今のキャリアを歩んでいますが、その「たまたま」に感謝しつつも、次に訪れる「たまたま」に備えて、自分の市場価値を高め、選択肢を増やし続けたいと思っています。そうすることで、偶然を味方につけながら、自分らしいキャリアを築いていけると信じています。
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