福岡市博物館で出会う歴史のロマン——国宝「金印」と福岡の歩み

美術館・博物館

民藝展と合わせて、福岡市博物館の常設展も鑑賞しました。福岡や九州の歴史を学べる施設として有名なこの博物館ですが、特に注目したのは国宝「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」の金印です。歴史の教科書にも登場するこの金印を実際に間近で見ることができるということで、期待に胸を膨らませながら足を運びました。

小さな金印に秘められた大きな物語

金印は常設展示されており、展示ケースの中で黄金に輝いていました。想像していたよりも小さく、一辺が2.3cmほどです。印面には篆書体で「漢委奴国王」と刻まれていました。2000年近く前に作られたものとは思えないほど保存状態が良く、その美しさに驚かされます。

この金印は、中国の歴史書『後漢書』に記された「建武中元二年(西暦57年)、倭の奴国の使者が後漢の光武帝に朝貢し、印綬を授かった」という記述と一致しているとされています。つまり、この小さな金印は、日本と中国の交流の証とも言える貴重な史料なのです。

さらに興味深いのは、その発見の経緯です。江戸時代の1784年、現在の福岡市東区にある志賀島で農民によって偶然発見されたと伝えられています。この発見をきっかけに、当時の学者たちは金印の真贋や歴史的背景について多くの議論を交わしました。そして、その議論は現代に至るまで続いています。もしこの金印が発見されていなければ、日本の古代史の解釈も違ったものになっていたかもしれません。そんなことを考えると、小さな金印に込められた歴史の重みと、それをめぐる人々のドラマに思いを馳せずにはいられませんでした。

福岡・九州の歴史をたどる

福岡市博物館の魅力は、金印だけではありません。館内の常設展示では、縄文時代から現代に至るまでの福岡・九州の歴史を学ぶことができます。

縄文時代の展示では、当時の人々がどのような暮らしをしていたのかを、出土品や再現模型を通して知ることができます。また、博多の港町としての発展や、戦国時代に黒田官兵衛が築いた福岡城、江戸時代の福岡藩の様子など、時代ごとに福岡の歴史が詳細に解説されています。黒田家に伝わる名品が展示されることもあり、とっても見どころが多い展示内容でした。

アクセスと所要時間

アクセス

西新駅から徒歩で15分ほどでした。

所要時間

1〜2時間ほどで見て回ることができると思います。じっくり鑑賞したい場合は、もう少し時間を確保しておくとよいかもしれません。

まとめ

福岡市博物館は、福岡や九州の歴史を深く知ることができる場所でした。そして、国宝・金印の実物を目の当たりにすることで、歴史が決して教科書の中だけの話ではなく、時代を超えて私たちに語りかけてくるものなのだと実感しました。

発見されてからも長い年月を経て研究が続き、多くの人々の想像をかき立ててきた金印。その小さな姿の中に詰まった壮大な物語を、ぜひ一度、自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

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